肘が痛い

 肘関節のしくみと病気やケガについて

まず肘関節の構造からお話ししましょう。
肘関節は、上腕骨(肩から肘までの骨)の末端と2本の前腕骨(肘から手首までの骨)の合計3本の骨が組合わさるような構造で機能しています。
前腕骨の2本とは、「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」です。
そして肘関節の周りにある軟骨や筋肉、腱にサポートされながら安定性を保っています。

 

 野球肘とは?

小学校高学年、中学生で野球をしている生徒は、「野球肘」になりやすいです。
これはピッチャーに多くみられる症状です。成長途中で骨端周辺の骨や軟骨が未熟であるにもかかわらず、過度に投球を繰り返すことによって、肘関節を保護している軟部組織の軟骨や靭帯、筋肉、腱が損傷するのです。医学的には、「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」と呼ばれます。成長が完了した投球歴の長い選手でも、骨軟骨や筋腱付着部などの軟部組織に障害が起こります。繰り返される投球動作によって、肘の内側にある靭帯組織が劣化して、伸びたゴムのようになるのです。

 テニス肘とは?

「テニス肘」は、テニスなどのラケットを使用したスポーツを行う人に多くみられるスポーツ障害です。医学的には、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」と呼ばれます。無理に手首と肘の力を使うことで、筋や腱の変性や骨膜の炎症が引き起こされるのです。この変性は、加齢によっても起こります。さらに、包丁を握る、ゴルフでクラブを握るなど、手を握る動作を繰り返したり、五十肩を患った後にテニス肘になる場合もあります。その多くは、手首を曲げたりひねる動作のときに肘や前腕に痛みを感じます。そして、タオルを絞る、ドアノブをひねるとか、ペットボトルのキャップをひねるなどの日常動作がむずかしくなります。日常生活の注意点としては、手のひらを下にしてモノを持って動かすことはできるだけしないこと。手のひらを上に向けて持つのはかまいません。手のひらを下(地面)に向けるような回内位の持ち方は肘に負担がかかりますので避けてください。